2025.05.30 業界動向

知らぬ間に売上損失?EC事業者が知っておくべき「決済承認率」とは

その失注、決済が原因かもしれない––売上を削る「決済承認率」低下の罠

こんにちは、YTGATE代表の高橋です。今回は、EC事業者のみなさまにぜひ知っていただきたい「決済承認率(オーソリ承認率)」についてお話しします。多くのECサイトでは、広告運用やUI/UX改善など、さまざまな施策を講じて売上最大化に取り組まれているかと思います。しかしその一方で、決済フェーズにおける「見えないボトルネック」によって、大きな売上機会を失っている可能性があることをご存知でしょうか?

例えば、商品をカートに入れ「購入」ボタンを押してくれたお客様が、クレジットカード決済の段階で失敗してしまい、そのまま離脱してしまうケース。実はその背景には、決済承認率の低下という業界共通の課題が隠れています。

今回は、この「決済承認率とは何か?」という基本から、なぜ今それが問題となっているのか、そして改善方法までを解説します。

「決済承認率」とは?

クレジットカード決済の仕組みは、表面的にはとてもシンプルに見えます。ユーザーがカード情報を入力し、「決済する」ボタンを押すだけ。しかし、その裏側では複数のプレイヤー(EC事業者、決済代行会社、カード会社など)が関与し、複雑な認証審査のプロセスが行われています。

このとき、カード会社が「この取引を承認する」と判断した場合にのみ、決済は完了します。そして、この"承認された割合"を指すのが「決済承認率(オーソリ承認率)」です。つまり決済承認率(オーソリ承認率)とは、クレジットカード決済の試行に対してカード会社が「承認」した割合のことです。

なぜ今、決済承認率が下がっているのか?

近年、クレジットカード決済の承認率が全体的に低下傾向にあります。例え顧客の与信枠に余裕があっても、カード会社側が承認を出さず、決済が通らないケースもあります。

その最大の要因は、2025年3月末に義務化された「3Dセキュア(本人認証)」の影響です。

この仕組みをご存知の方も多いと思いますが、ユーザーに対してSMSやアプリなどでワンタイムパスワードを送信し、なりすまし利用を防ぐものです。セキュリティの強化という観点では有効ですが、その一方でカード会社側のリスク判断が大きく変化しました。

もともと、3Dセキュアを導入していなかった頃は、不正利用が発生した際の損失は「加盟店(EC事業者)」側の負担となっていました。しかし現在は、3Dセキュアを導入している加盟店であれば、被害の補填責任は原則として「カード会社」側にシフトしています(ライアビリティシフト)。

この仕組みの変化により、カード会社は慎重にならざるを得ません。不正リスクのある取引を承認してしまうと、自社が損失を被ることになるため、少しでも不審な挙動や属性があると、与信枠が足りていても「承認しない」という判断を下すケースが増えているのです。つまり、カード会社側が保守的にならざるを得ないことで、決済承認率の低下を引き起こしているのです。実際、当社が支援する加盟店の中には、あるクレジットカードでは決済承認率が30~40%台まで低下していた事例もあります。

関連記事:加盟店が知るべきポイント!EMV 3Dセキュア導入の課題とリスク

決済承認率が下がると、EC事業者はどう困るのか?

決済承認率が下がると、購入意欲の高いユーザーでも「支払いが通らない」ために離脱してしまいます。つまり、本来なら得られたはずの売上が水面下で失われているわけです。さらに厄介なのは、運営側がこの「知らぬ間の失注」に気づきにくいこと。原因不明の売上減を広告やUIの問題と勘違いし、誤った改善策に走るケースも少なくありません。加えて「カードが使えないサイト」と誤解され、クレームやSNS上の炎上につながるリスクも高まります。つまり、決済承認率の低下は、売上だけでなく顧客体験やブランドにも悪影響を及ぼします。

決済承認率を"見える化"し、改善するには?

YTGATEでは、決済承認率の可視化と改善支援を一貫して行っています。まずは「健康診断」として、カード会社別・金額帯別の決済承認率やエラー要因を分析。原因を特定したうえで、当社が間に立ってカード会社との調整や改善施策の実行をサポートします。ある加盟店では、決済承認率が30%台でしたがカード会社との改善交渉により、約70%まで改善した事例もあります。

現状を知り、対策を打つことが、失注の回避と売上最大化への第一歩となります。

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まとめ:「知らぬ間の失注」を防ぐために

広告やUIを改善するのと同じくらい大切なのが、「決済が正しく承認されているか」を確認することです。決済承認率は売上の"入口"を守る重要指標であり、この改善によって収益に直結するインパクトを生み出せます。

YTGATEでは、初期費用ゼロ・開発不要で始められる「健康診断」と改善支援を提供しています。まずは現状を見える化し、失注を止めて売上を取り戻す第一歩を踏み出してみませんか?